三陰交ってどんなツボ?

三陰交(解剖図)

女性雑誌などで必ずと言って良いほど取り上げられる経穴が三陰交(サンインコウ)。古くは女三里とも呼ばれ、松尾芭蕉で有名な足の三里とともに、女性に愛用されてきた経穴でもあります。冷え性にとても有効な経穴ですが、それ以外にもさまざまな効果があるとされてきました。今回はそんな三陰交をご紹介します。

目次

名前の由来

東洋医学において、身体には経絡というものがあると考えられてきました。足に六本と手に六本で合計十二本あるとされています。このうち足の六本はさらに陽経とよばれる三本と、陰経とよばれる三本に別れます。三陰交はこの足にある三本の陰経が交わる部分とされています。つまり三つの陰経が交わるという意味で三陰交と名付けられました。

また別名として承命や太陰と呼ばれていたこともあります。

三陰交穴の特徴

解剖学的特徴

三陰交(解剖図)

三陰交で注目すべきは、後脛骨筋長趾屈筋でしょう。どちらも脛骨神経支配です。

後脛骨筋は通常脛骨と腓骨の間の深いところにあるのですが、この三陰交のあたりでニョキっと体表に顔を出しております。この後脛骨筋は炎症を起こすと足のアーチが崩壊していくことが知られており、下腿でありながら足のアーチ(内側アーチ)に深い関わりのある筋肉であると考えられます。内側アーチは腰などの負担を軽減するクッション的な役割があります。

もう一つの長趾屈筋は足をギュッと握り込むような動き(足趾の屈曲)に関わります。歩き出すときに非常に重要な筋肉で身体を前方へ進める作用があります。

東洋医学的な特徴

三陰交は、足太陰脾経と呼ばれる消化器の反応が出やすい経絡上にある経穴です。名前の由来からもあるように、他に足厥陰肝経・足少陰腎経と合わせて三つの経絡が交わる非常に重要な経穴として古来より知られて来ました。

その治療効果は多岐に渡りますが、消化器系の症状として下痢消化不良、お腹の張り(腹満1、婦人科の症状として不正出血逆子生理痛2、また泌尿器科の症状として、頻尿残尿感3などに効果があると伝えられています。
これは三陰交が肝・脾・腎という三つの臓腑と関わる経穴であり、経絡が下腹部から上腹部へと深く関わることがその理由として考えられます。また下肢の三つの経絡に影響を与えるので、足の冷え(厥冷)や不眠症などにも用いられます。

なお三陰交にはお腹の中で死産した子を太衝・三陰交と合谷で下ろしたという記載4がありますが、正常な胎児が三陰交で堕胎することはほぼないでしょう。むしろ安定期に積極的にお灸することで、出産の時間が短くなり安産につながるという報告もあります。

三陰交(経絡図)

現代での応用

三陰交はポピュラーな経穴の一つですのでその研究も比較的多いです。英語名はSP-6と呼ばれています。代表的なものとしては、生理に伴うさまざまな症状(月経困難症)において月経痛が軽減されたというエビデンス5があります。また不眠症の患者さんでは、三陰交一穴のみでレム睡眠の時間が長くなり、睡眠スコア(PSQI)が改善したというエビデンス6も報告されています。

参考文献

  1. 主治脾胃虚弱,心腹胀満,不思飲食,脾病身重,四肢不挙,飧泄,痢血,痃癖,臍下痛不可忍,中風卒厥,不省人事,膝内廉痛,足痿不行,凡女人産難月水不禁,赤白帯下,先瀉後補,小腸疝気,偏墜,木腎腫痛,小便不通,渾身浮腫,先補後瀉。『類経図翼』 ↩︎
  2. 産難,月水不禁,横生胎動皆鍼三陰交”。“婦人下血、泄痢、赤白漏血,灸足太陰五十壮,在内踝上三寸。百壮主腹中五寒。『千金要方』 ↩︎
  3. 夫労淋之為病,労倦即発,痛引気衝,灸足太陰百壮,在内踝上三寸三報之。『外台秘要』 ↩︎
  4. 治産生理不順或横或胎死腹中,胞衣不下,刺太衝二穴,鍼人八分,補百息,次補合谷二穴,次瀉三陰交二穴。『鍼灸摘英集』 ↩︎
  5. Acupuncture at Sanyinjiao(SP6) for patients with primary dysmenorrhea: Protocol for a systematic review and meta-analysis
    Xuemei Wang, Jiao Yang, Jing Liu, Yepeng Yang, Zhiyuan Zhang, Ping Xie ↩︎
  6. Is single acupoint Sanyinjiao (SP 6) effective in managing insomnia? A systematic review of randomized controlled trials
    Zhi-Jie Wang, Yu Zhang, Wei Guo, Li-Xing Zhuang, Xiao Gao, Merlin L Willcox, Xiao-Yang Hu
    ↩︎
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