中医学から考えるお腹の張り

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お腹の張りは昔から人々を悩ませてきた

消化器系の疾患でよく見られるお腹の張り(腹部膨満感)は、昔からよく知られた症状で様々な治療法が模索されていました。古い伝統医学の本では、中満1満病2腹気満3などと呼ばれ治療されてきました。それぞれに多少の違いはありますが、ここでは中医学におけるもっとも一般的な呼び方の腹満として紹介していきます。

腹満の東洋医学的見立て

脾胃が弱る

腹満(腹部膨満感)は、五臓六腑でいうところの脾胃と関連が深いことが知られています。東洋医学における脾胃は、消化器の消化機能や吸収機能をまとめたものと考えてください。『中医症状鑑別診断学』によれば、腹満には5つの鑑別があり、その内4つが脾胃によるものであると書かれています。また病理学について書かれた東洋医学の古典『諸病源候論』にも腹が冷えて脾が弱ったために腹満の症状が現れる4と書かれています。

冷えとはなにか

冷えは中医学で寒邪と呼ばれその特徴は収斂性凝滞性にまとめられます。必ずしも「寒い!」という感覚だけが冷えではありません。収斂性は縮まるような所見がみられる事を言い、皮膚では汗をかけない(無汗)・筋肉では強張りなどの症状が現れます。一方で凝滞性とは、体内の流れを阻害する性質のことです。人は気血が流れることで動くことができると中医学では考えますが、この気血の動きを阻害するために運動制限や冷え性などの症状が現れます。つまり寒邪が脾胃を襲うことでその凝滞性や収斂性によって消化器の動きが悪くなり腹満もしくは腹痛が引き起こされると考えられます。

それ以外の理由

脾胃が弱ったり冷えたり以外にも、食べ過ぎなどの食事の不摂生は食滞とよばれ、これも腹満を引き起こすとされています。また精神的に過度な負担が続けば、気滞を引き起こし腹圧が上がることによる腹満なども考えられます。

どうやって治療するのか

鍼灸の場合、腹満は直接お腹に指すような局所的な針も非常に効果がありますが、手足の経穴を用いてツボの効能を引き出すことでより効果を高めることができます。これを遠近取穴法といいます。

たとえば、お腹のツボである中脘と足のツボで胃に関わるといわれる足三里を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。中脘と足三里は遠近取穴法のなかでも、特に募合配穴といわれ高い効果があることが知られています。さらに冷えからくるものであれば道具を針からお灸に変えたり、食べ過ぎによるもの(食滞)は足陽明胃経からさらに経穴を加えたりします。以上のようにお身体の症状や体質に合わせてさまざまな経穴やを選ぶことで症状の改善をはかることができます。

参考文献

『中医症状鑑別診断学』人民衛生出版
『中医胃腸病学』中国医薬科学出版社

  1. 「其高者因而越之、其下者引而竭之、中満者瀉之於内」『素問・陰陽応象大論』 ↩︎
  2. 「肥者令人内熱、甘者令人中滿、故其気上溢.転為消渇」『素問・異法方宜論』 ↩︎
  3. 「三焦病者、腹気満、小腹尤堅.不得小便、窘急、溢則水、留即爲脹、候在足太陽之外大絡」『霊枢・邪気臓腑病形篇↩︎
  4. 「腹脹者、此由風冷邪気在腹内不散、与臟腑相搏、脾虚故脹、其脹不已、連滞停積、時瘥時発、則成久脹也。『諸病源候論(久腹張候)』 ↩︎
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