ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という名前は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、日本人の約50%が保有していると言われています。この細菌と胃がんや胃潰瘍との関連が明らかになり、除去治療が盛んに行われています。ではピロリ菌の除去にはどのようなメリットとデメリットがあるのかご紹介していきましょう。
ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する螺旋状の細菌です。主に幼少期に経口感染や汚染された水や食物を介して感染するとされています。ピロリ菌はいわば武器商人のような存在で、それ自体が悪さをするわけではありませんが、胃が荒れやすい環境を作ることが知られています。そのため多くの場合は無症状ですが、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化器症状を引き起こす可能性があります。
ピロリ菌除去のメリット
ピロリ菌が原因の慢性胃炎はピロリ菌を除去することで改善します。これによって症状の改善だけでなく再発防止もすることが可能です。また荒れて萎縮してしまった胃粘膜も修復されやすくなります。
日本では胃癌のほとんどがピロリ菌が関わっているため、胃がんの予防としても有効です。除菌後は胃がんのリスクが約3/5(0.66倍)になったとの報告もあります。年齢が高いほど予防効果も高いですが、若いうちに除菌しておくことで、次世代の子どもたちへの感染予防につながります。
また胃がんだけでなく近年は、MALTリンパ腫などの他の病気の予防にも効果があることがわかっています。
ピロリ菌除去のデメリット・副作用
ピロリ菌除去の治療中には抗生物質を利用するため下痢や軟便(10~20%)、味覚異常や口内炎(5~10%)・皮膚の発疹(2~5%)などがでることがあります。これらは殆どの場合、除去後に改善されます。また、除菌後に胃酸の分泌が活発になるためか逆流性食道炎を発症する方がまれにいらっしゃいます。
たしかにリスクは多少ありますが、胃の不調を抱えておられる方なら、メリットのほうが多いかと思われます。
まとめ
このように、メリットの多いピロリ菌除去ですが、アレルギーや腎障害があると除菌できない場合もあります。詳しくはお近くの消化器内科へお問い合わせください。また除菌によって胃の不調が改善しない方も少なからずいらっしゃいます。当院ではそのサポートもおこなっておりますのでお気軽にお問い合わせくださいませ。
コメント