アトピー性皮膚炎は、増悪と寛解を繰り返す掻痒感のある湿疹であり、一般的な治療では改善まで非常に難航することも少なくない。改善の第一歩は病気の正確な理解から。
痒みこそ悪化の原因
アトピー性皮膚炎ではその痒みが特徴的なのですが、その特徴的な症状こそがアトピーの治療を厄介にする原因と言えるかもしれません。医学的にアトピーの痒みは皮膚の炎症を起こした部位から起痒物質(サイトカイン・ケモカインなど)が出ることで痒みを引き起こします。起痒物質は神経に直接作用するので、
このような負のループを形成して、症状は悪化の一途を辿ります。
「痒みは痛みよりツライ」
なんてアトピーを患う方はよく言われますが、我慢するのが難しいというのは痒みならではの部分なのかもしれません。またアトピーの方は皮膚のバリアがハゲることで知覚過敏になっている方も多く、痒みに拍車がかかっているような印象を受けます。
乾燥肌もっとも痒みに直結しやすい
皮膚にはそれ自体に保湿機能があります。もっとも表面にある角質層というのがその役割を果たしているのですが、アトピーの発症や掻きむしることにより、この表層の角質層のバリアがはがれていくという現象が起きます。実際にアトピー 性皮膚炎の患者さんは皮膚の保湿に必要なセラミドという物質の含有量が異常に少ないということが分かっています。
また掻くことで、皮膚のバリアがはがれ、そこからアレルギー物質が直接皮下に接触することも痒みの原因に繋がります。アレルギー物質が皮下に直接触れてしまうことで、サイトカインやケモカインと言った起痒物質が発生するからです。アトピーにおいて保湿が口うるさいほど言われているのはこのようなためです。
痒みを止める工夫をしよう
上記の理由もありアトピー性皮膚炎では「掻く(かく)」という行為をいかにして止めるか?もしくは減らすか?ということがとても重要なのです。当院でも痒みを抑える施術に加えて、自分でできるセルフケアが非常に大切であると、いらっしゃった方々にはお伝えしています。具体的には
- 爪を切る
- できる限り皮膚を清潔に保つ
- 痒いときは遠慮なくステロイドを使用する
とてもシンプルですが、徹底するだけでかなりの改善が見られることも少なくありません。加えて週1回〜2回程度の鍼灸施術を行うことを当院では推奨しています。
アトピーの本当の原因はアトピー素因?
痒みはアトピー性皮膚炎を悪化させる原因でした。しかしアトピーには非常に多くの原因があり、多因性疾患であると言われます。その中でよく知られているものにアトピー素因があります。
①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎,結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患), ② IgE 抗体を産生しやすい素因
この二つがアトピー素因といわれます。
1、家族歴、既往歴
家族歴とは親もしくは子供にどんなお病気があったかもしくは現在も患っているか?というものです。既往歴はご本人の病歴ですね。アトピー性皮膚炎ではこの家族歴や既往歴のある方が多く、当院でも
「アトピーって遺伝するんでしょ?」
などと言われたものです。
しかしあくまで傾向があるだけの話であって遺伝するかは別問題だと当院では考えています(実際、親がアトピーでもアトピーのないお子さんもたくさんいらっしゃるのです)。この家族歴や既往歴には、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などアトピー性皮膚炎と一見関係なさそうなお病気も含まれています。これはアトピー性皮膚炎を患っている人でこれらの疾患をもつ割合が非常に多いことが分かっているためです。
IgE 抗体を産生しやすい素因
こちらは、検査してみないとわからない要素です。お近くの皮膚科で検査されてみるのがいいでしょう。
アトピー性皮膚炎の方はこの数値以下であれば、比較的、経過が良く治りやすいというデータが出ています。もしデータを見ることがあれば参考にしてみてください。
High serum total IgE predicts poor long-term outcome in atopic dermatitisより引用
鍼灸でもアトピー性皮膚炎は改善できる?
一般的なガイドラインでは提唱されておりませんが、当院では鍼灸でもアトピー性皮膚炎を改善できると考えております。東洋医学の考え方を用いて、お身体の状態を整えて、皮膚の症状の改善させていきます。ただし、一般的な鍼灸整骨院ではいわゆる「痛いところ鍼」という言い方をされるように、局所での施術のみで、アトピー性皮膚炎のような症状には対応していないのが現状です。しっかりと四診を通してお身体を見ることができる鍼灸専門院で施術を受けられることをお勧めします。
当院のアトピー性皮膚炎に対する考え方や施術法はこちらからご覧ください。
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