当院でもよく使う経穴の一つに曲池があります。曲がった池と書いてキョクチと呼びます。どんな効能があるか見てみましょう。
目次
曲池穴の特徴
解剖学的な特徴
曲池はちょうど肘まがるところ、腕をしっかり曲げたときにできるシワの端(肘窩横紋外端)です。解剖学的に曲池穴は浅層に腕撓骨筋、深層に長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋、橈骨神経などが通る1ため手首を返す(伸展)動きにの改善に使うことができます。
また曲池穴の浅層にある腕撓骨筋は上腕二頭筋と上腕筋膜で繋がっており、五十肩の痛みと関連することが多く、手首や肘の動きの悪さ(運動制限)は肩の動きを制限するのである種の五十肩への応用も期待できます。
東洋医学的な特徴
曲池は手陽明大腸経という経絡にある経穴です。伝統的には合水穴という特徴があり、逆気(下から上へ突き上げるような症状)を改善するのが得意とされています。
手陽明大腸経は人差し指〜肩を通る経絡なので、ある種の五十肩2などにも応用されます。また伝統的に手陽明大腸経は体表の熱を冷ます作用が強いことがしられており、ほてりや熱感が続くもの3や蕁麻疹など皮膚に痒み4へ応用されます。中医学的にはこれらの効果をまとめて「疏風解表」「清熱利湿」と言われます。
ちなみに手陽明大腸経にあるので大腸の疾患にも効果がありそうなものですが、消化器系への効果は古典にほぼありません。
少し変わった使い方では瘰癧(頚部のリンパ結節)や中風(脳卒中)の予防などで使われていました。現代ではほぼ使われなくなった用法です。
現代での応用
現代ではさまざまな症状に使われますが、日本では整形外科疾患として五十肩や手首の痛み・ほてりや痒みとして蕁麻疹や更年期障害、近年研究が進んでいるものとして高血圧や二型糖尿病のHbA1cのコントロール5などに応用されています。
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