機能性ディスペプシアはどんな日常生活を送ればいいのか?

食事する人

生活の乱れが多い機能性ディスペプシア

不眠

お腹の不快感や食後の不調で苦しむ機能性ディスペプシアの方々ですが、生活の乱れが多いことがガイドライン上1で指摘されています。特に不眠(途中で起きてしまう・熟睡感がない)といった症状を持つ人は当院でも少なくありません。東洋医学の古典2においても胃の不調のために不眠が起こることは知られており、胃の不調と睡眠は切っても切り離せない関係にあります。機能性ディスペプシアの重症例は軽症の方と比べて、身体活動レベルが下がっているという報告もあり3、不眠の症状がない方も症状の悪化を防ぐため睡眠をしっかり取っていただくことは必須でしょう。

なかなかお仕事の関係などで十分な睡眠時間が取れない方も少なくありませんが、最低でも一週間に一度でも8時間以の睡眠をとれる時間を確保するのが養生としてはいいではないでしょうか?

食生活

食事する人

食と胃の不調は強く関係がありそうなものですが、機能性ディスペプシアにおいてはあまり関係という研究が多いです。ただ脂質の高い食事(揚げ物や脂っこい食事)を取ることで、症状が悪化する方が多いのが実情でしょう。東洋医学の古典4においても、脂質の多い食事を摂る方や味のナマモノとりすぎは胃の不調と不眠を引き起こしやすいことが知られています。

東洋医学的にみると、夕食から睡眠までの時間が短い(夜食)なども胃に大きな負担をかけることがしられています。夜食を食べた次の日に倦怠感や胃もたれを経験した人もいるのではないでしょうか?過度に食事に気を使う必要はありませんが、お腹に優しいものを取ること、夕食をなるべく早めに取り夜食をしないなど多少の工夫をすることで症状の改善につながります。

まとめ

機能性ディスペプシアの生活習慣のポイントをご紹介しました。こんな当たり前のことでいいのか?と言われる方も多いかと思います。どんなお病気でもそうですが、劇的に一瞬で変わる魔法というのはそうないものです。日々の小さな積み重ねが土台となって、鍼灸や服薬などを使うことで徐々にしかし確実に改善していくものだと知っていただければ嬉しいです。
もちろん様々な事情で日々の養生ができない方も多いかと思います。鍼灸は症状の改善だけでなく、日々のコンディションを整えるためにも使われる施術ですので、ぜひそのような方もお気軽にご相談くださいませ。


  1. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版) ↩︎
  2. 「胃不和則臥不安」『逆調論篇第三十四』 ↩︎
  3. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版) ↩︎
  4. 「脈滑数有力で眠るを得ずの者、中に宿滞痰火有り、これ胃和せずをもって則ち臥安からず。」『張氏医通 ↩︎
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