胃に効くツボ
胃のツボには足三里(足)、胃兪(背中)などお腹以外にもさまざまありますが、ちょうど胃の上にあり古くから胃に聞くと言われている中脘(ちゅうかん)穴を今回はご紹介しましょう。
名前の由来
現在のWHOでは中脘という表記で統一されていますが、ほかにも「中管」「大倉」などの別名があります。東洋医学では、食べ物を消化吸収する機能を中気1というため中脘と呼ばれます。また東洋医学では、胃は五臓六腑の中心に位置すると考えられ、身体に入った食物を蓄えて腐らせる作用(現代で言うところの胃酸による消化作用)があると考えられていました。そのため胃は「大倉」という別名2で呼ばれることがあり、これが胃に高い治療効果をもつ中脘の別名となりました。
他にも由来のはっきりしていない呼び名に「上紀」があります。
場所
中脘(ちゅうかん)はおヘソをまっすぐ上がったところ、みぞおちとおヘソのちょうど真ん中にある経穴です。
解剖学的には、ちょうど胃の中央部で7本目と8本目の肋骨神経が支配しています。
特徴
東洋医学的な特徴
胃に効くと知られている中脘穴ですが、多くの経絡が通ることでも知られています。五十肩や喉の痛みなどに使う手太陽経・五十肩や耳鳴りに使う手少陽経・消化器の不調などに使う足陽明胃経・婦人科の症状と関係が深い任脈が通っています。
中脘はこれら4つの経絡が通っており幅広い範囲への効果が期待できます。具体的には、胃腸の不調はもちろんのことある種の五十肩や不眠症や風邪のあとの倦怠感などにも応用できる経穴です。
現代医学的な特徴
東洋医学はけっして神秘的なものではなく、特に鍼灸はもっともエビデンスの多い伝統医学と言われています。エビデンスがかならずしも正しいわけではありませんが、世界中で臨床家や研究者によって効果が調べられているという点で説得力があるのも事実です。
中脘穴はそんな中でも最もエビデンスの蓄積がある経穴で、逆流性食道炎や機能性ディスペプシア(FD)、過敏性腸症候群(IBD)などに効果が確認されています。
参考文献
- 『中医基本用語辞典』 東洋学術出版 ↩︎
- 「胃者、大倉也」『霊枢・脹論』 ↩︎
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