天枢ってどんなツボ?

天枢
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天枢(てんすう)の由来

古代中国では上部のことを「天」と表現することがありました。天枢はちょうどお臍の高さにあり、臍の上を「天」として考えるためその境界線上にある経穴という意味で、天枢と名付けられました。

またそのほかに大腸との関わりが深い経穴として「大腸募」。また食べ物(専門用語では水谷)の消化と関わりが深いことから「谷門」。そのほかにも「長渓」という別名も知られています。

天枢穴の特徴

解剖学的特徴

へそからちょうど真横に2寸(約6センチ)に天枢穴を取ります。体格にもよりますが、ちょうどシックスパックなどで有名な腹直筋の縁になることが多いです。解剖学的には腹直筋や腹横筋それを支配する肋間神経、腹直筋を栄養する腹壁動脈などがあります。

臨床的には手足の経穴のような筋肉を緩めて可動域を出す使い方ではなく、内臓の反射(筋性防御)をみることに有用な経穴だとされています。

東洋医学的な特徴

足陽明(類経)

天枢は足陽明胃経という消化器の反応が現れやすい経絡にあります。その中でもさらに大腸の募穴として大腸の反応が現れやすい天枢穴は、古来より重要な経穴として使われて来ました。治療効果もお腹に関するものが多く、腹痛を伴う下痢食欲不振お腹の張り1などがあります。

他の消化器に効果のあると言われている経穴との違いとして、奔豚2と呼ばれる一種のパニック症状やホットフラッシュなど下から上へ突き上げるような所見(専門的には気上衝)などにも適応があります。

現代での応用

天枢のその効果は現代では下痢や便秘などに応用されています。具体的には過敏性腸症候群の下痢が主なもの3や、おおきな原因のない便秘(機能性便秘)4などで使われています。とくに機能性便秘においてはお薬よりも効果が高かったという報告もあります。

参考文献

  1. 瘧振寒、熱盛狂言。腹脹腸鳴、気上衝胸。冬月重感於寒則泄、当臍痛、腸胃間遊気切痛。食不化、不嗜食、侠臍急。脹满、腎冷、瘕聚、洩痢。屈骨端主、小便不利、大便泄数、併灸天枢。腹中尽痛。『千金方』 ↩︎
  2. 奔豚、泄瀉、脹疝、赤白痢、水痢不止、食不下、水腫腹脹、腸鳴、上気衝胸不能久立、久積冷気繞臍切痛、時上衝心、煩满、嘔吐、霍乱、冬月感寒泄利、瘧寒熱、狂言、傷寒飲水過多、腹脹気喘、婦人女子癥瘦、血結成塊、漏下赤白、月事不時。『鍼灸聚英』 ↩︎
  3. Acupuncture for Diarrhoea-Predominant Irritable Bowel Syndrome: A Network Meta-Analysis ↩︎
  4. Efficacy and Safety of Acupuncture at Tianshu (ST25) for Functional Constipation: Evidence from 10 Randomized Controlled Trials ↩︎
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