太陽病(上)1条

参考資料その1

前回の続きはこちら

鍼灸師が傷寒論を読む


太陽と言うのは、お天道様のことではない。
伝統医学では、体の一番表側のことをさす。
つまりは
「体の一番表面の部分に何か異常があるよ!」
と言うのが太陽病。この「表面」と言うのは相対的(伝統医学のキーワード!)なもので、現代でいう「皮膚」や「筋肉」・「血管」だったりすることもある。この辺は読み解きながら、感じ取って欲しい。
さて前置きはここまで
早速本文を見ていこう。

太陽之為病、脈浮、頭項強痛而悪寒

太陽病についての初めての条文。
まずは太陽病の具体例があがっている。

  • ・脈が浮いている
  • ・頭(後頭部)が痛んで寒さを嫌う

この二つが太陽病の典型的な症状。

「脈浮」
橈骨動脈に触れた時、脈が浮いている様に感じられることをいう。

話は少しそれるが、脈診の浮沈は意外と難しい。太っている方だと肉が多いので必然的に脈が沈んで見えるし、痩せている人はその逆。鍼灸師が一番はじめに覚える脈の形状で最もつまずきやすいのが、浮沈の脈かもしれない。

「頭項強痛而悪寒」
太陽病は、太陽経に入りやすい(症状が出やすいもの)という特徴をもつ。
あと漢方薬を出す先生はあまり言われないが、経絡では陽維脈というのがこれまた首に走っており、「風府」という首の裏側(盆の窪あたり)で交わる。特に陽維脈には「陽経を繋ぎまとめ、一身の表を主る」という特徴がある。
陽維脈も考慮しながら診察したい。
加えて

陽経が病なれば、寒熱に苦しむ(難経二十九難)

とあるので、寒さを嫌がる様な症状があれば、
太陽経・陽維脈の両方にエラーが起こっていると捉えてもいいだろう。

つづく

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