傷寒論42条(解表と解肌)

中医学の治療法で八法というのがある。汗・吐・下・清・消・温・補・和という八つの治療法のことであるが、このうち汗法(汗をかかす治療法)は古くから用いられ、特に表証において非常に重要な治療法である。傷寒論においてもこの汗法が多く用いられている。

本条文の42条から57条あたりまでは汗法をどのように使い分けたら良いのかという鑑別が比較的詳細に書かれている。

目次

原文

42条;太陽病、外証未解、脈浮弱者、当以汗解、宜桂枝湯。

意訳

42条;太陽病で、外証が未だに残っており脈が浮弱のものは、発汗させるべきであり、桂枝湯が良い。

解肌と解表

「太陽病で外証がいまだに残っている」というのは、太陽病の提綱である発熱・悪寒・頭痛などがあるということである。典型的な太陽病の場合、治療法は二つある。一つは桂枝湯などを用いて営衛を調和させて自然と発汗させる解肌、もう一つは麻黄湯などを用いて表にある邪気を追い出す解表である。

本条文では「脈浮弱」とあるので、これは太陽病の中でも特に太陽中風と呼ばれる病態の特徴であり、麻黄湯の適用ではない。そのため桂枝湯を用いて解肌すると良いとしている。

「主」と「宜」

本条文では「宜桂枝湯(桂枝湯によし)」としているが、条文によっては「主桂枝湯(桂枝湯がつかさどる)」と書かれている場合がある。これにはニュアンスにグラデーションがあり、「主」はその方剤が最も良いという意味であり、「宜」はその方剤が比較的良いという意味があるとされている。
本条文では必ずしも桂枝湯にこだわる必要がないので「宜桂枝湯(桂枝湯によし)」とされている。

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次