機能性ディスペプシアと薬

胃と薬

不快な症状を呈する機能性ディスペプシア(以下、FD)ですが、どのようなお薬が使われているのでしょうか?機能性消化管疾患ガイドライン2022からまとめてみましょう。

目次

機能性ディスペプシアで使われる薬

酸分泌抑制薬(PPI,H2ブロッカーetc)

名前の通り胃酸の分泌を抑制する薬です。2024年6月現在で保険適応ではありませんが、ある程度の効果があると考えられています。機能性ディスペプシアの病態はまだはっきりとわかりませんが、胃酸の分泌を抑制することで症状の改善を図ることが知られています。ただし、高容量の酸分泌抑制薬を服用すると逆に薬の効果が認められないという場合もあり、プラセボと比較した有効性もそこまで高くないです。ただし副作用も比較的少ないため、臨床現場でつかわれることがあります。以下は酸分泌阻害薬で代表的なものです。

  • エソメプラゾールマグネシウム水和物(商品名:ネキシウムetc)
  • ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブetc)
  • ランソプラゾール(タケプロンetc)
  • ファモチジン(ガスターetc)

消化管運動機能改善薬

消化管運動機能改善薬は、機能性ディスペプシアを含む機能性消化管疾患のために開発されたお薬です。2024年6月現在で保険適応になっています。消化管の運動機能の調節が主な効果ですが作用機序が違う薬がいくつかありさまざまな効き方をします。消化管運動機能改善薬は特に胃もたれ・上腹部膨満感・早期膨満感などの食事関連愁訴に効果が高いと考えられています。以下は消化管運動機能改善薬の代表的なものです。

  • アコチアミド(商品名:アコファイド、保険適応)
  • モサプリドクエン酸塩水和物(ガスモチンetc)
  • メトクロプラミド(プリンペランetc)
  • ドンペリドン(ナウゼリンetc)

抗うつ薬・抗不安薬

機能性ディスペプシアは心理的な影響が症状に強く関連することが知られています。このため、一部の抗うつ薬(三環系抗うつ薬)や抗不安薬が有効になる場合があります。以下は機能性ディスペプシアで使われる代表的な抗うつ薬や抗不安薬です。

  • アミトリプチリン塩酸塩(商品名:トリプタノールetc)
  • アモキサピン(アモキサンetc)
  • イミプラミン塩酸塩(イミドール、トフラニールetc)
  • タンドスピロンクエン酸塩

漢方薬

保険適応のものはありませんが、胃の機能改善を中心とした効果がある漢方薬に六君子湯が知られています。六君子湯は胃腸の症状のみならず、不安症状にも一定程度の効果があることがわかっており、最近では副作用の少なさから多用されるお薬の一つです。ほかにも経験的に効く漢方薬がいくつか知られています。エキス剤が一般的ですが、可能であれば東洋医学的診察(舌診や脈診)ができる医師や薬剤師に処方してもらうのが理想です。

薬の効果と鍼灸

上記で紹介したお薬は必ずしも一剤で効くとは限らず、通常は2〜3薬程度を組み合わせて処方されるようです。しかし、一方で薬剤のみでの治療でなかなか改善しない難治性の機能性ディスペプシアが存在することも知られており、現在治療法が調べれらています。

当院では薬剤と違った視点で、東洋医学的な目線から機能性ディスペプシアの改善に力を入れています。機能性ディスペプシアは、さまざまな要因が絡み合うことで起こる症状と考えられており、薬物治療だけでなく鍼灸治療も取り入れることでより症状の改善が期待できます。胃腸の不調でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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