胃の不調のために転職した30代男性の症例
ここでご紹介する記事はあくまでも一つの症例です。
経過には個人差があります。
一方で鍼灸にはさまざまな症状に効果があると
考えられていますが現状まだまだ知られていません。
当院の症例を通して一人でも多くの方に
鍼灸の魅力を感じていただければと思います。
30代男性
主訴:食欲不振、胃もたれ、吐き気、倦怠感
クリニックでの機能性ディスペプシアと自律神経失調の診断あり
1年前に精神的な不安が重なり発症。消化器内科で抗不安薬とプロトンポンプ阻害薬を処方される。やや改善していたが、全快とまではいかず鍼灸を試してみようとご来院。
舌診:淡紅(色は良い)
脈診:細滑脈
腹診:胸脇苦満がみられた
初診:
伺うと食後の膨満感が強く、最近は体重も減ってきた。また夕方からの吐き気がひどく食事を取れない時もあるとのこと。手厥陰に強い熱感があり、また足陽明には実の反応の経穴がいくつかみられる。中焦の湿熱に施術の焦点をあてる。
初診にしっかり瀉法を加えると刺激過多にあることがあるので、刺激量を調整しなが様子を見る。
2診目(初診から4日後):
おおきな変化は感じなかった。脈は少し大きくなってきており滑脈のみへと変化する。刺激量をもう少し増やしましょうと説明して、しっかりと利湿と行気をメインに瀉法を加える。施術後はお腹がぐるぐると動く感覚がある。
3診目(初診から2週間後)
夕方からの吐き気はなく、身体の倦怠感も比較的軽くなってきている。食欲は引き続きあまりない。前回同様の施術を行い様子を見てもらう。
4〜8診目
倦怠感はこの頃には改善され、食欲も戻り食事量はだんだんと増えてきた。8診目には健康だった頃の8割程度まで食事を食べられるようになった。
脈は滑脈→緩脈へと変化し、中焦の湿熱が取れるにともなって順調に回復していくことが読み取れる。
9診目(初診から約3ヶ月)
食事はまだ不安な時もあるが、概ね健康だった頃の9割まで回復。年齢と経過を加味して一旦卒業とさせていただく。
雑感
初診時の刺激量が難しく、初回では大きな効果が出ませんでしたが、2回目以降しっかりと施術の効果を実感していただいたのはほっとしました。一般的に倦怠感は虚証と考えられますが、ここでは湿熱があったためにその倦怠感を引き起こしていたのでしょう。
下手に精のつく漢方や食事をとるとかえって症状が悪化しかねないので問診や脈診などでしっかりと情報を取る重要性を感じる症例でした。
卒業時は、自信がついたのか無事新しい職場も決まりスーツでご来院されたのは嬉しい思い出です。
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