アトピー性皮膚炎と薬(覚え書き)

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アトピー性皮膚炎のガイドラインでまとめられているお薬についてまとめました。
著者は鍼灸師であり、医師ではありませんので記事の内容は参考程度でお願いします。


目次

1,ステロイド外用薬

いわゆるステロイドの塗り薬。アトピー性皮膚炎の患者さんが皮膚科に行けばまず処方されるであろうお薬でアトピー治療の基本となる薬剤です。ステロイドの外用薬はⅠ群(ストロンゲスト)〜Ⅴ群(ウィーク)までレベルがある。重症には I群(ストロンゲスト)とII群(ベリーストロング)、中等症〜軽傷にはⅢ群(ストロング)とⅣ群(ミディアム)、軽微な症状にはⅤ群(ウィーク)を用いることが推奨されている。ちなみに、このステロイドの使い分けというのはなかなかに難しいようで、皮膚科の腕の見せ所でもあるようです。

ステロイドの副作用をどう考えるか?

ステロイドには副作用があることが知られています。基本的には濃度が低いものであれば、副作用は少なく使用するメリットの方が多い。強いステロイドでは副腎機能の抑制が見られることがあるので、注意して用いることが必要。
また眼への影響も言われている。よく知られているのは白内障と緑内障。このうち緑内障はステイロイドの多様によってこのリスクが高くなることが分かっている。一方で白内障はステロイドの使用というよりも、アトピーの悪化によって目のまわりの皮疹や目を掻き毟るクセによってそのリスクが高まる。アトピー性皮膚炎は長期にわたって治療することが多いので、眼へのリスクを考えても、ステロイドの適切な使用量というのは意外と難しいのだろう。

2,タクロリムス

こちらはステロイドと全く違う機序で、アトピーの炎症を抑えるお薬。ステロイドの副作用が気になる方へ推奨されている。では魔法の薬かと言われればそうでもない。「皮疹」に対しては高い効果が証明されているが、「びらん」「潰瘍」などのジュクジュクタイプにはあまり効果がない。また薬効の強さもステロイドほど高くできない。他にも2才児以下や妊婦には使用できないなど制約がある。このことからあくまでもアトピーの炎症にはステロイドを主体として用いて、タクロリムスは補助的に使うのが良いようである。

3,非ステロイド性抗炎症薬

いわゆるNSAIDsがそれ。抗炎症作用はステロイドよりも低く、アトピー性皮膚炎に対して有効なエビデンスは今の所ない。さらに接触性皮膚炎の副作用もあるので、アトピー性皮膚炎の治療では推奨されないようである。


抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬というのはいわゆる「痒み止め」のお薬である。アトピー性皮膚炎は炎症→掻く→炎症という負のサイクルを繰り返す傾向があるので、痒みをいかに止めるかというのはとても大事な視点である。この点で、西洋薬の抗ヒスタミン薬はとても有効なようだ。ただし、抗ヒスタミン薬のみでは、効果が実証されておらず、ステロイドとの併用で効果を発揮する。さらにこの抗ヒスタミン薬は効果に個人差がかなりあることも覚えておきたい。

4,シクロスポリン

こちらは内服薬(飲み薬)。適応は16才以上の重症例であくまでも、他で効果がなかった時の最後の切り札的な扱いである。長期服用での効果がまだ実証されていない。そのため、一時的に使用して他の薬剤に切り替えることが多い。ただし効果は強力なようで、乾癬や紅皮症などの他の皮膚疾患や痒疹結節が多発する患者などにも使える。

5,漢方薬

漢方薬も実はアトピーへのガイドラインで推奨されている。ただしエビデンスが少ないようで、「消風散」もしくは「補中益気湯」ぐらいしかデータがあるものがないようである。この二剤のみでアトピー性皮膚炎に対応するのは名医でも相当難しそうだというのが東洋医学を学ぶ者としては正直な感想である。ガイドラインにもあるように漢方薬や東洋医学的な施術でアトピーを改善する場合は、それに習熟した先生の元で施術や治療を受けるのが良いと思う。


以上ガイドラインに記載されているアトピー性皮膚炎に使える薬物をまとめて見た。
東洋医学では、炎症と痒みはセットで考えることが多い。西洋薬では炎症にはステロイド、痒みには抗ヒスタミン薬と別れている。この辺りは人体の捉え方の違いが垣間見えるようで面白い部分だと思う。

また最近だと注射タイプのアトピー性皮膚炎の治療薬も世に出始めているようでこちらの動向もまた機会があればまとめて見たい。


当院でのアトピー性皮膚炎での考え方はこちら

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