坐骨神経痛が改善するエビデンスが出ました

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鍼灸の研究が進んでいる

東洋医学ひいては鍼灸は職人の技術がある世界であり、長らく臨床研究が難しいとされてきました。一方で最近の技術の発展によって、鍼灸も臨床研究が盛んに行われています。痛みや痺れだけでなくさまざまな症状に効果が証明され始めています1

今回紹介する研究は2024/10/14にJAMAというジャーナルに出されたもので坐骨神経痛のなかでも特に腰椎椎間板ヘルニアによって痛みがで出る方に鍼灸の効果があったというものです。RCTという客観性の高い研究手法を取られているため、鍼灸が腰椎椎間板ヘルニアに効果がある治療法が出た研究と言えるでしょう。

論文紹介

今回ご紹介する論文はこちらです。


Acupuncture vs Sham Acupuncture for Chronic Sciatica From Herniated Disk
A Randomized Clinical Trial
Jian-Feng Tu, MD, PhD1; Guang-Xia Shi, MD, PhD1,2; Shi-Yan Yan, PhD1; et al

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2825064

対象とデザイン

6つの医療機関を対象に調べて総数は220人。すべて腰椎椎間板ヘルニアを患って坐骨神経痛がある方でした。4週間で10回施術し、ランダムに110人には本当の針治療を、残りの110人には偽の針治療(シャム針)を行いました。平均年齢は51.3歳で、女性68.1%、男性31.9%の割合です。

効果はVASと呼ばれる痛みの程度を視覚的に測る方法と、ODIと呼ばれる腰痛を評価する質問用紙2にて行われました。

結果

4週間後の測定では明らかに本当の針治療群の方が痛みが軽くなっており(VASは、鍼治療群で30.8 mm、偽鍼治療群で4.9 mm減少)、また生活の質も改善していること(ODIは、鍼治療群で13.0ポイント、偽鍼治療群で4.9ポイントに減少)がわかりました。

注目すべきは、施術の2週目から明らかに本物の針治療群の方が効果でており、52週後(約1年後)も効果が改善されていたということです。

雑感

腰痛がマッサージなどで一時的に改善することはよく知られていますが、今回のように施術をすることで一年後も症状が出ないと言うのが針治療おそるべしといったところでしょうか。一介の鍼灸師としては、坐骨神経痛の患者さんに関わることは非常に多く、経験的にも改善した例が非常に多いです。臨床家としての感覚をしっかりと研究で証明されたのは鍼灸の発展にとっても喜ばしい限りです。

参考文献

  1. 「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 厚生労働省 ↩︎
  2. オスウェスト障害指数(ODI) ↩︎
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