ここでご紹介する記事はあくまでも一つの症例です。
経過には個人差があります。
一方で鍼灸にはさまざまな症状に効果があると
考えられていますが現状まだまだ知られていません。
当院の症例を通して一人でも多くの方に
鍼灸の魅力を感じていただければと思います。
30代男性
主訴:首や肩・腰の痛み。不眠。慢性疲労症候群の疑い。
3年前より発症。感染症の罹患後、集中力の低下やドライアイ、不眠(中途覚醒)などに苛まれる。クリニックへの通院で回復傾向であったが経過が長くイマイチ治りきらないという思いから、鍼灸を試してみたいという理由でご来院。
舌診:紅、舌苔やや厚
脈診:弦
腹部:季肋部に強い張り、中脘を中心に膨満感
初診:
経過が長いことや不眠などから単なる気虚とは考えにくく、血虚〜陰虚が少なからずあると考えられる。腹部は実証の反応であるが、主訴から考えるに単なる実証とは考えにくい。腹診は邪実の反応が読み取りやすく「邪あつまるところその気必ず虚す(霊枢)」の格言にもあるように虚証の程度の強さを現すものとして読み替えた。
脈診やその他の経穴の反応から、肝陰虚と見立てて補肝を中心に疏肝・補腎の経穴を加えて施術。
二診目:(1週間後)
施術後はぐっすりと眠れる感覚があり、体の痛みは半分程度まで改善。脈は弦→滑脈へと変化。季肋部の張りはやや改善されるが、中脘を中心とした膨満感は変化せず。前回同様の施術を行う。
三診目〜六診目:(2〜5週間後)
中途覚醒は改善されてきており一度も起きずに眠れる日が週の半分程度あるとのこと。痛みも初診時の3割程度まで改善。脈は滑脈→緩脈へと変化。左季肋部に張りが残る。中脘を中心とした膨満感はほぼない。紅舌は変化なし。経過が良いので週1回の施術から2週間に一回へ変更。
七診目:(初診から7週間後)
中途覚醒は一度だけあったがぐっすりと眠れているとのこと。倦怠感も現在は改善されているが、過労などがあると強く出ることがあるとのこと。もうしばらく2週間ごとに施術して、経過がよければメンテナンス程度で月一回の施術でも可能な旨を伝える。
雑感
感染症後の疲労感は近年鍼灸院でも観る機会の増えてきた症状の一つです。この症例は患者さんの改善意欲が高く、年齢も若かったせいか施術が経過よく進みました。腹診ではさまざまな反応が見られますが、虚証でも実の反応が出やすいことを改めて学ばせていただいた症例でした。
ここでご紹介する記事はあくまでも一つの症例です。
経過には個人差があります。
一方で鍼灸にはさまざまな症状に効果があると
考えられていますが現状まだまだ知られていません。
当院の症例を通して一人でも多くの方に
鍼灸の魅力を感じていただければと思います。
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