盧 嘉林– Author –
-
1-3,『内外傷弁惑論』寒熱を弁ずる
寒熱による鑑別は、鍼灸よりもむしろ湯液で重要視される。繰り返しにはなるが、李東垣は内傷を外感病に正気の虚が加わるもの・外傷を外感病があり正気が充実しているものとして考えている。 李東垣は内傷が頭痛・肩こり・腰痛などの点で外傷(太陽表証)と... -
機能性ディスペプシアと慢性胃炎の違い
黎明期 慢性胃炎の黎明期 慢性胃炎は、古くは18世紀にドイツの医師シュタール(Stahl)が感染症の際に胃壁に炎症が見られることを指摘した記録が残っています。その後、フランスの軍医ブルサ(F. Broussais)によって胃炎(gastritides)という名前が付け... -
【症例集】1ヶ月前から不眠の40代男性
施術と経過 来院時の様子 40代男性主訴:不眠(中途覚醒)。腰痛。 1ヶ月前から眠りが悪くなり、ここ数日は寝ても1〜2時間おきに起きてしまう日が続いていた。クリニックでお薬をもらい薬物治療中ではあったが効果がなかったので来院された。 所見と経過 ... -
表証があっても裏虚を優先せよ(傷寒論50条)
これは鍼灸師や漢方家に向けた専門的な記事です。 東洋医学にはいくつかの治療原則がありますが、「表証があっても裏虚を優先せよ」はそのうちの一つです。今回はその原則が生まれるきっかけとなった条文を見ていきます。 原文 脈、浮緊なる者は、法当に身... -
学会へ参加してきました。
全日本鍼灸学会へ参加してきました 5/30~6/1で開催される全日本鍼灸学会へ参加してきました。学会は基本的に撮影禁止だったのですが、名古屋駅近くということもあり多くの鍼灸師が参加されていました。どちらかというと全日本鍼灸学会は、大学で行われる鍼... -
1-2,『内外傷弁惑論』脈を弁ずる
脈を弁ずる 現代語訳 古の医家たちは、人迎と気口という脈の状態によって、内傷と外傷を区別した。すなわち、人迎の脈が気口よりも大きければ外傷、気口の脈が人迎よりも大きければ内傷とみなすのである。この見立ては正しいが、説明がまだ十分ではない... -
1-1,『内外傷弁惑論』陰陽を弁ずる
内傷と外感の鑑別『内外傷弁惑論』 著者の李東垣とは? 『内外傷弁惑論』の著者・李東垣は35を超えてから医術を学んで歴史に名を残した名医であり、現代でも使われる補中益気湯の創作者である。『内外傷弁惑論』は名前の通り、内傷と外感をどうやって鑑別... -
医療功夫小学術大会で発表してきました!
功夫と医療の相互作用!?医療功夫 導引・武術・功夫 功夫が東洋医学と言ったら意外に感じる方も少なくないのではないだろうか?身体を動かして健康を養うことは古くは「導引」と言われて中国で親しまれてきました。 最近でも中国の高齢者たちが健康のため... -
太渓ってどんなツボ!?【経穴ジャーナル】
経穴は全部で360個ほどあると言いますが、その効能は多岐にわたります。精力減退のことを古くは腎虚と言いましたが、そんな腎虚に効く経穴、太渓を今回は見てみようとおもいます。 太渓の由来 太渓は内くるぶしの少し下にありくぼみの部分に取穴します。内... -
【症例集】腹痛と下痢と便秘を繰り返す50代女性
施術と経過 50代女性主訴:腹痛。下痢と便秘を繰り返す。不眠 1ヶ月前に風邪を引いてそこから不調が始まる。風邪が回復した後、咳喘息と下痢・不眠が続き、徐々に食事が取れなくなる。 クリニックではIBS(過敏性腸症候群)の疑いを受けたが、あまり改善が...