老中医による針の症例(胃の痛み)

老中医とは、中医学においてベテランで腕のある者が名乗れる称号です。今日は陸瘦燕リクソウエンという老中医のカルテを見ていきたいと思います。陸瘦燕は教育者としても有名で、現代中医学を代表する老中医の一人です。今日は彼の医案から胃痛の症例をご紹介します。

目次

カルテ;長く続く胃の痛み

患者情報

  • 名前:楊さん
  • 性別:女性
  • 年齢:45歳
  • 病院:黄路衛生院
  • 診察番号:1314

主訴

患者は幼少期から飲食の不規則によって胃脘部の痛みを訴えており、これまで中医学・現代医学の治療を受けてきたが、完治に至らず、30年以上にわたって胃痛が時折発生し、発作時には頻繁に悪心を伴い、脘腹部の膨満感がある。脈は濡脈で緩く、舌苔は薄白。

処方

土虚により木が乗じて侮る状態であり、治療は和胃調中を基本とする。捻転提挿による補泻を行い、留針時間は10分。

内関(泻,双)・中脘(補)・足三里(補,双)・胃俞(補,双)・脾俞(補,双)

双・・・左右両方取穴するということ

考察

この患者は幼少期から食事が不規則であり、そのために胃気が損傷され、大人になってから胃痛を引き起こしている。脈は濡脈であり、舌苔は白く、脘腹部の膨満感と痛みは胃陽虚衰の症状である。頻繁に悪心が生じるのは、上虚により木が乗じて侮るためである。陸は脈を診て証を論じ、肝木に偏亢の徴候はないと判断し、木が土を侮るのは土が虚しているためであると結論付けた。そのため、治療は和胃を重視し、胃の募穴である中脘を補い、胃俞と胃の合穴である足三里を組み合わせて和胃し、脾俞を加えて脾の健運を助け、内関で胸を広げて鬱を解消し、胃気を降ろす。土気が充実すれば、肝木の乗侮も自然と解除される。

原文

杨某某 女 45岁 黄路卫生院号1314
患者主诉:自幼因饮食饥饱失宜而经常胃脘疼痛。其后虽迭经中西医治疗,但始终没有治愈,胃痛时发时止,历三十余年,发时频频泛恶,脘腹胀满。切脉濡缓舌苔薄白,土虚木来乘侮,治拟和胃调中为先。
处方:内关(泻,双)中脘(补)足三里(补,双)胃俞(补,双)脾俞(补,双)
手法:捻转提插补泻,留针10分钟

陸瘦燕鍼灸医案より抜粋
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次