東洋医学について– 東洋医学について –

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東洋医学とは

東洋医学と西洋医学

東洋医学は古くアジア圏に伝わってきた医学の総称で、日本では中国から伝来した漢方や鍼灸が東洋医学として知られています。
西洋医学が病気の原因やメカニズムを突き止めてそれを根絶・抑制するのに対して、東洋医学では身体のあらゆる部位や心の働きは互いに影響しあって「全体で調和する」という態度をとります。それはたとえば腰痛の方を施術するとき、腰の問題だけでなく、足首や膝などの動きが悪く腰にも負担をかけているのではないか?と考えるような態度です。

また東洋医学では身体のみならず自然や環境も含めて全体で調和することが健康であるとされています。たとえば夏は暑く発汗しやすく体力を消耗しやすいので、施術においても発汗させすぎないように配慮したり、冬では冷えによって滞りが生まれやすいのでお灸を使って温めたりします。

陰陽

ではどのような状態が「全体が調和している」といえるのでしょうか?これを解き明かすヒントに陰陽があります。陰陽は単にモノを二つに分けるという考え方ではありません。陰陽には五つの特徴があります。

  • 陰陽は対立する(相反)
  • 陰陽は互いに依存する(互根)
  • 陰が増えれば陽が減り、陽が増えれば陰は減る(消長)
  • 陰は陽に変わり、陽は陰に変わりえる(転化)
  • 陰の中にまた陰陽があり、陽の中にまた陰陽がある(可分)

身体でたとえれば、腹と背中は前後で対立し(相反)、腹と背中は互いに緊張し合うことで姿勢を保ち(互根)、前後に動けば腹と背中の緊張関係が変わり(消長)、腹と背中は前とも取れるし後とも取れ(転化)、腹の中には上下がある(可分)。このように陰陽の世界観が東洋医学の根底にあります。

気血津液と経絡

 この陰陽から、動きながら安定する(動的平衡)という発想が東洋医学に生まれます。人体で動いているもの(流れるもの)が、気血津液(キケツシンエキ)とよばれました。気血津液が不足したり停滞したりすること「全体の調和」が達成されず病になるとされてきました。
 この気血津液が流れる道として経絡があると経験的に考えられてきました。経絡は気血津液の通り道であると同時に、不足や停滞が現れる場所です。とくにその経絡の中でよく反応の現れるところを経穴(ツボ)と呼びます。

五臓六腑

 東洋医学は身体のあらゆる部位が互いに影響し合っていると考えているため、内臓と体表も互いに影響していると考えています。東洋医学で内臓は五臓六腑と言われ、西洋医学の解剖学的な意味だけでなく、情緒や身体の部位と関連づけられて語られます。逆転の発想で、経穴には五臓六腑の反応があらわれると経験的に知られています。

鍼灸と東洋医学

鍼灸は漢方と並ぶ東洋医学の代用的な施術法で、経絡や経穴に刺激をあたえることで、気血津液の流れを変えて、整形外科的な症状から、疲労やストレス、内臓機能の調整まで幅広い効果が期待できます。近年では西洋医学的な施術と併用されたり、スポーツやリハビリなどの分野でも応用されています。

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