耳鳴り・難聴は鍼灸治療で非常に効果の高い分野です。
急性期では耳鼻科との並行で、慢性期ではしっかりと着実に症状の改善をはかります。


「耳鳴り・難聴」を鍼灸で改善する


耳鳴りや難聴は必ずしも耳鼻科という訳ではなく、
神経科・内科・心療内科など多くの診療科で訴えられる症状です。


症状

耳鳴りと言ってもその表現は様々です。
「キーン」と言った高い音から、「ジージー」とした低い音まである。
一般的には静かな環境や就寝前などに強くなる傾向がある。
(ただし、そうでない場合も多い。詳しくは東洋医学的考察にて)

耳鳴りは単に耳や神経の問題ということだけでなく
精神的にもストレスが強くかかるため
気分の乱高下(抑うつ)が激しくなりやすい。

 

原因

大きく分けると二つ。
・音が伝わらない伝音性(中耳炎やケガなど)
音が鼓膜に伝わるまでにトラブルがあるものです。

音を感じない感音性(メニエル病など)
その他、さまざまな不調の兆候として
耳鳴りやめまいが出ることがあります。

治療

はっきりとした原因がある場合は、それを取り除くことで改善が可能である。
ただし、慢性になるほど現代医学では経過が悪く治りにくいようである。
カフェインなどの刺激物で増悪することもあるため、
そのようなもので症状が出る場合は患者さんに控えるよう心がけていただく。


東洋医学的考察


耳鳴りや難聴の歴史は古く、約2000年前の医学書『黄帝内経』にも耳と全身の関係が述べられている。耳鳴を含む聴力の減退は耳聾(じろう)と呼ばれ、治療されてきた。耳聾は、細かく分類すると風聾・暴聾・湿聾・火聾・気聾・労聾・久聾・虚聾・瘀聾の8つに分類され、現代では風熱型・肝火型・痰熱型・腎虚型・脾胃虚型の5つに分類される。
当院では治療の観点から現代でも応用されている5分類で当院は耳鳴り・耳聾を施術しております。

風熱型(フウネツ)

風熱型は、風邪や中耳炎の際によく見られ、急性期の炎症による耳鳴りや難聴の場合に多い。耳鳴りよりも難聴がはっきりと出ることが多い。現代で言えば、ウイルス性や外傷など外的な要因によるものが多く、場合によっては熱があることがある。こちらのタイプの耳鳴りや難聴は比較的経過も浅く、原因も特定しやすいため、耳鼻科などで容易に治療できることが多い。鍼灸院ではもっとも少ないタイプかもしれません。
風熱型は銀翹散荊芥連翹湯などの漢方薬によるが高い。鍼灸においても上記の漢方薬を意識したツボを選んで施術していく。

肝火型(カンカ)

肝火型は、突発性難聴の方に多いタイプである。
ストレスや緊張状態が続くなど、血圧が高くなるのに伴って症状が悪化する。耳鳴りも難聴もどちらもはっきり症状に現れることが多い。タイプに「火」と名のつくものは、どれも症状が強く現れるものが少なくない。特に肝火型はその中でも強く症状が出て、不安感や恐怖感を感じやすい。特に突発性難聴は、発症後2週間以内で治療を開始できるかが、その後治るかどうかを決めると言っても過言ではない。

耳鼻科の治療と鍼灸の治療を並行することで、突発性難聴の改善率が高くなることが近年の研究でわかってきている。

東洋医学においては、竜胆瀉肝湯釣藤散補肝湯などが適応となる。鍼灸においても、上記の漢方薬を意識してツボを選び治療していく。

痰火型(タンカ)

痰火型はメニエール病など、めまいを伴う耳鳴りや難聴に多い。耳鳴りや難聴に加えて強い閉塞感(耳閉感)を伴うことがあり、ひどい場合は吐き気も伴う。一般的な標準治療でなかなか治らない方が一定数このタイプにいるように思う。東洋医学の観点からは温胆湯半夏白朮天麻湯などが適応となる。鍼灸においても、上記の漢方薬を意識して化痰や和胃降濁といった方法でツボを選んで施術していく。

腎虚型(ジンキョ)

腎虚型は特殊で加齢に伴う耳鳴り・難聴はこの分類に入る。ただし加齢によるものだけでなく、長期に渡って耳鳴りがある人にも多い。こちらのタイプも耳鼻科の治療で難航する方が多く、鍼灸治療で改善はするものの、回復まで根気がいる場合が多い。東洋医学においては、腎虚には耳聾左慈丸(じろうさじがん)という耳鳴りや難聴への専門的な薬がある。鍼灸においても、上記の漢方薬の考え肩を応用して、補肝腎法を用いて施術をしていく。

脾胃虚型(ヒイキョ)

脾胃虚型は、腎虚型と同じく長期に渡って耳鳴りを持つ方に多い。また耳鼻科でメニエール病や原因不明と言われることが多いタイプです。線の細いもしくは体力のない人に多く、当院の鍼灸施術では体の体調を調えることで徐々に回復していくことが多い。東洋医学では、補中益気湯益気聡明湯などが適応となる。鍼灸でも脾胃を調える経穴を選びながら施術していく。

 

 

耳鳴りや難聴でお困りの方へ

当院で行なっている耳鳴りや難聴の概略を上記に示してみた。少し専門的な内容が多いが、当院での施術に対する考え方や雰囲気を感じていただけると嬉しい。特筆すべきことは耳鳴りや難聴は精神的なストレスなどにより不眠となることがある。眠れないことは症状の回復を遅らせるか場合によっては症状を悪化させる。そのため、いかに良い睡眠を日々作れるかということが実は耳鳴りや難聴の改善にとってとても大切なのである。

***もし当院のHPをご覧になっている方で難聴や耳鳴りを発症してから2週間以内の方は必ず耳鼻科への初診を受けていただきたい。症状が出てからの2週間は今後の人生の聴力を決める期間と言っても言い過ぎではない。耳鼻科への初診に行ったあと、並行して当院に通っていただくことでより高い治療効果をあげることができると考えております。***


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